PCIe PCI EXPRESSとは発生する大量の熱が課題

 

PCIe --- 一部の人はその意味をご存じかもしれませんが、ほとんど人はそうではないでしょう。  PCIeは、Peripheral Component Interconnect Expressの略で、何年も前から存在している高速シリアルコンピュータ拡張バス規格であり、PCグラフィックカード、ハードドライブ、SSD、Wi-Fi、およびイーサネットハードウェア接続で一般的に使用されています。
 DelkinのCFexpressタイプBメモリカードやJUGGLER™USB 3.2外付けSSDなど、プロの写真市場、ビデオ市場の両方を対象とするメモリストレージデバイスでPCIeテクノロジが利用され始めたのは、つい最近のことです。
「何が起きたの?」「他のメモリカードとどう違うのですか?」知りたくなりますね。 ここでは、PCIeテクノロジーが他のテクノロジーと何が違うのか、そしてそれがもたらす新しい可能性について考えてみます。


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他のバス規格と比較して、PCIeは飛躍的に優れたパフォーマンスを可能にします。  16レーンのPCIe 3.0は、理論的には最大15.75 GB/sの転送速度を可能とします。
CFexpress Type Bメモリカードのようなストレージメディアは4つのPCIe 3.0レーンを使用し、各レーンは1 GB/sのデータ転送速度を提供できます。  Delkin 1TB CFexpress Type Bメモリカードの読み取り速度と書き込み速度は、それぞれ最大1730MB/sと1430MB/sに達することができ、1TB JUGGLER™USB 3.2外部SSDは、最大1700MB/sの読み取り速度と書き込み速度の両方を可能としています。
こういった画期的な高速転送の応用により、今日の放送、映画、写真業界で使用されているハイエンドホスト機器は、8K、6K、4Kなどの完璧な映画品質のビデオを、高フレームレート、ビットレートでキャプチャすることができ、またRAW連続バーストでの撮影も可能となりました。 さらにユーザーはカードからコンピューターへ短時間でのデータ転送が可能になり、ポストプロダクションの作業開始時間を圧倒的に早めることが可能になります。 大量のデータをすぐに取り出して撮影に戻る必要のあるフォトグラファーやビデオ撮影者にとっては理想的なデバイスとなりました。

 

発熱によってどの様に速度が遅くなるのか

これだけの高速データ転送は、写真やビデオ市場向けに特別に設計されたストレージメディアではこれまで利用されることはありませんでした。 これが利用可能になったことで多大な恩恵を受けられる反面、残念ながら小さなトレードオフも存在します。
PCIeベースの製品は大量の熱を発生する傾向があり、過剰な熱はメディア、カメラ、さらにはユーザーにさえ害を及ぼす可能性があります。 これが、コンピュータがファンと冷却システムを利用してマシンの内部温度を調整する必要がある理由です。
機器、システムすべてを確実に熱から保護するために、使用されるコントローラーはオンダイサーマルセンサ (On Die Thermal Sensor: ODTS)と複数のスロットリングを使用して、動作中の温度を90°C(194°F)未満に保ちます。 コントローラーの温度が88°C(190.4°F)を超えると、コントローラーはサーマルスロットリングプロセスを開始し、パフォーマンス速度が30%低下する1番目のスロットリング状態(「ライト遅延」)がトリガーされます。 温度が90°Cに達すると、コントローラーは2番目のスロットリング状態(「重い遅延+周波数削減」)になり、元のパフォーマンス速度が50%低下します。 コントローラーの温度範囲が86〜90°Cである限り、サーマルスロットリング状態がトリガーされます。 カード(またはドライブ)が86°C(186.8°F)まで下がると、以前のスロットリング状態に戻るか、熱制御メカニズムを離れて、フルスピードのパフォーマンスへ復活します。

 

 

現在、カード(またはドライブ)がその温度範囲に達するまでにどれくらい時間がかかるのか知りたいと思われるかもしれませんが、残念ながら答えは簡単ではありません。  外気温、ホスト、モード、操作時間など、さまざまな要因がこの温度上昇の原因となっている可能性があります。
たとえば、キヤノン1DXマークIIIで使用されているCFexpressメモリカードは、2600 Mb/sで5.5K 60fps 12ビットRAWビデオを連続して記録しており、このような厳しい使用条件では、より涼しい環境の方が高温の場所よりも使用に適していると考えられます。 
CFexpressカードと比較して、外付けSSD(Delkin USB 3.2 JUGGLER™など)は、カメラの外部で使用されるため、カメラ本体への影響などは小さくなるものの、組み上げ方や使用する材料やコンポーネントによっても熱の問題が発生します。

 

PCI EXPRESS製品の上手な使い方

キャプチャしようとしたものすべてが破損したりフレームが落ちたりすることなく確実にデータセーブされるように、少なくとも1枚の追加のカード(またはドライブ)を手元に置くことをお勧めします。  時々手を使ってストレージの熱をチェックし、熱くて扱いにくい場合は、別の未使用のユニットと交換して撮影を続けてください。 使用したばかりのユニットは理想的にはどこか涼しくて乾燥した所で冷却できるようにします。 
複数のカード(またはドライブ)を上手く使い分けて、それぞれを「休ませる」ことで、最高のパフォーマンスが保証され、寿命が長くなります。

HDD フルフォーマット

製品でフルフォーマットを定期的に実行することもお勧めします。  過去の撮影の残ったデータが撮影途中で問題を起こす可能性があります。  フルフォーマットにより、メモリー内部に残っているデータが完全に削除され、問題発生の可能性は低減されます。 
クイックフォーマットが行われた場合、古いファイルのデータがメモリー内に残り、その蓄積により、カード(またはドライブ)の持続的な書き込み速度が低下し、カメラが現在の動作を停止する可能性があります。 これは、高フレームレートやビットレートでの4K、8Kなど、要求の厳しいビデオモードで継続的に録画する場合に発生する傾向があります。
最高のビデオ録画パフォーマンスを保証するために、使用後のフルフォーマットは大変大事なメンテナンスの一つです。

 

外付けPCI EXPRESS SSDではケーブルはとても重要です

PCIeベースの外付けソリッドステートドライブでは、製品に付属のUSBケーブルまたは高速定格ケーブルのみを使用するということが重要です。 すべてのUSBケーブルが同じような性能を持っているわけではないため、低コストのケーブルを使用することで性能として謳われている速度やカメラの機能が制限される場合があります。
  DelkinのJUGGLER™USB 3.2 SSD(USBタイプC-to-CおよびUSBタイプC-to-A)に含まれているケーブルは、謳われている性能、速度を保証するために十分にテストされています。

 

以上のような発熱の問題にもかかわらず、PCIeベースの製品から受ける様々なメリットは、このマイナス要素をはるかに上回ります。 このテクノロジーは、市場で利用可能な最速のスピードを提供し、あらゆるスキルの写真家やビデオグラファーに新たなエキサイティングな可能性を開きます。

 

PCIe 製品の長所と短所 要約

長所短所
成長余地のある最新テクノロジー対応ホストで使用するために新しいカード/ドライブの購入が必要
市場最速の速度(将来的には最大16GB/s)使用するとかなりの熱が発生する(長時間の撮影ではメディアの交換が必要な場合がある)
完璧なシネマクオリティのビデオキャプチャ
8K、6K、4Kの高フレームレート、高ビットレートで撮影可能
温度が安全なレベルを超えている場合、ドライブの動作が遅くなる場合がある
外付けPCIeは、適切なケーブルで使用した場合、驚くほど高速に動作する安物のケーブルを使用すると、読み出しと書き込みの速度が制限される場合がある
定期的なフルフォーマットにより、カードやドライブを高速かつ機能的に保つことができるフルフォーマットを完全に実行するには膨大な時間がかかる