DELKIN CF PRO UDMA 305X 16GBレビュー

        

Delkin CFカード16GB レビュー 礒村浩一

 プロも含め全てのカメラマンにとっても「16GB」は決してオーバーな容量ではないと思う。 「16GB」という余裕が撮影全体への余裕にも繋がるからだ。残り撮影可能枚数を気にしながらだと、肝心のシャッターチャンスも逃してしまうかもしれない。 メモリーの余裕は心の余裕に繋がるのだ。 

DELKIN CF PRO UDMA 16GB コンパクトフラッシュ

米国デルキンデバイス社製「CF UDMA 305x」シリーズはUDMA規格を採用した高速転送CFカードだ。UDMAとは1996年にQuantum社とIntel社が発表したHDDやCFカードなどのメディアとPCやデジタルカメラなどを接続するIDE(ATA)規格の拡張となる。 このUDMA規格の高速転送は双方がともにUDMA規格に対応している必要がある。そこで「CF UDMA 305x 16GB」をUDMA対応デジタル一眼レフで実際に使用した感想をお届けしたい。

今回、私が「CF UDMA 305x 16GB」を使用して、実際に撮影したカメラは以下のものとなる。

キヤノン「EOS-1Ds Mark3、EOS-1D Mark3、EOS-1Ds Mark2、EOS-1D Mark2、EOS 5D、EOS 20D、EOS Kissデジタル」 ニコン「D3」 オリンパス「E-3、E-1」 ソニー「α700」

私が「CF UDMA 305x 16GB」の使用を始めてすでに一ヶ月以上となり、撮影した画像の枚数も数千枚を超えている。 書き込み及び吸い出しでもエラーは全くなく安定しているようだ。  使用したカメラのなかには16GB CFカードに正式対応していないモデルも含まれるが、私の環境ではどのモデルでも問題なく使用する事ができている。 
またUDMA対応機となる「D3」「E-3」「α700」の3機種においては、連写撮影後のバッファ開放までの時間も速く感じられる。 実際の撮影においてもCFへのデータの書き込み待ちによって、撮影が中断されてしまうということはほとんどない。 私の場合、RAW+JPEGラージという大きなファイルサイズの画像を記録する場合も珍しくなく、その際に書き込み待ちが頻繁に起こってしまうと非常に大きなストレスとなってしまう。だがこの「CF UDMA 305x 16GB」ではそのストレスを感じてしまう事も少なくて済みそうだ。 また「EOS-1Ds Mark3」もUDMA対応機ではあるが、さすがにファイルサイズが大きいせいか、RAW+JPEGラージで10コマ連続撮影したあとはバッファの開放までに若干時間がかかってしまう。 約2110万画素という高画質を考えれば致し方ないところか。


「CF UDMA 305x 16GB」は16GBという大容量CFカードである。 この今までにない程の大容量メモリーが持つ余裕は非常にありがたい。 最新機種のデジカメのファイルサイズは、その高解像度化により軒並み大きくなっており、約2110万画素の「EOS-1Ds Mark3」に至ってはRAWファイルで一枚約25MB、JPEGラージでも一枚約6.4MBとなる。 私の場合、記録する画像はRAW+JPEGラージとしている。 基本的に撮影後にRAWファイルを現像したうえで画像を仕上げるからだ。JPEGは画像セレクト時のチェックやバックアップ用に使用する。 そのため「EOS-1Ds Mark3」では一コマの撮影でも約31MBほどとなってしまうのだ。 ちなみに「EOS-1Ds Mark3」において、RAW+JPEGラージの同時記録だと16GB CFを使用で444枚撮影可能となり、RAWだけだと604枚となる。数だけ聞くと大量な枚数と感じるかもしれないが、実際の撮影となると意外と簡単に消費してしまう現実的な枚数だ。 もちろんこれはプロの現場の特殊なケースと言える。 常に最高画質で記録しておくことで、クライアントの望む最高のクオリティを提供するという使命があるからだ。 しかしプロも含め全てのカメラマンにとっても「16GB」は決してオーバーな容量ではないと思う。 「16GB」という余裕が撮影全体への余裕にも繋がるからだ。残り撮影可能枚数を気にしながらだと、肝心のシャッターチャンスも逃してしまうかもしれない。 メモリーの余裕は心の余裕に繋がるのだ。

 16GB 1DSMarkIII でJPEG+RAW撮影で444枚撮影可能

「EOS-1Ds Mark3」に「CF UDMA 305x 16GB」を装着。 約2110万画素の高解像度にて「RAW+JPEGラージ」とすると、16GBといえども444枚しか記録できない。

  我々カメラマンには撮影終了後に行う画像チェック&セレクトとRAW現像作業が待っている。 実はこの作業にはかなりの時間がかかってしまう。 大量に撮影された画像を処理するのに一晩中かかってしまうことも珍しくない。 そのような状況では全てにおいて少しでも速くスムーズな処理が望まれる。 それはメモリーいっぱいに撮影してきた画像をコンピューターへと転送する作業から始まる。
実はこのメモリーからの画像転送に思いのほか時間がかかってしまうのだ。 16GBメモリーフルともなると転送だけで30分近くかかることもある。 そのあいだ、我々は遅々として進まぬモニター上の転送状況の画面をイライラしながら眺めるしかない。 しかしこの「CF UDMA 305x 16GB」とCFカードリーダ「UDMA CF+Reader39」を組み合わせての転送を試してみたところ、その速さに大変驚いてしまった。実にUSB2.0対応CFカードリーダーと較べると1/3以下の転送時間で16GB近くのデータをコンピューターに転送することが出来たのだ。 この「UDMA CF+Reader39」はUDMAモード1-6に対応しており、コンピューターとの接続はFirewire800/400となる。 このカードリーダーとの組み合わせにより「CF UDMA 305x 16GB」は、その能力を最大限に発揮すると言えるだろう。

READER39をMacBook Proで使用

Macに「UDMA CF+Reader39」を接続。 Firewire800/400共に接続可能だが、速度の違いはほとんどない。「CF UDMA 305x」シリーズ以外のCFtype1, type2のメディアも使用可能。

  このように「CF UDMA 305x 16GB」は日々の撮影において非常に高いパフォーマンスを発揮してくれている。 容量に余裕のあるメモリーとストレスの少ない高速転送。カメラ機種を選ばない互換性など、今現在の私の撮影にマッチした製品である。 また製品保証が「Lifetime warranty」となっているのも安心感が高い。 もちろんこれからも、負荷の高いプロの現場での使用による安定性などは引き続き検証していきたく思っている。 頻繁な書き換えやスロットの抜き差し、低温下での使用など現場での様々な状況にも耐えてこそ「PRO」の称号が本物になるのだから。

08.1.22 5:20 AM
k.isomura

礒村浩一 フォトグラファー

 1967年生まれ 東京写真専門学校(現 東京ビジュアルアーツ)を卒業後、広告写真プロダクションを経てフリーとして独立。現在、礒村写真事務所代表。 雑誌、広告写真を中心に人物、商品、建築、舞台等多方面の撮影を行う。朝日新聞社刊アサヒカメラデジタル、インプレスジャパン社刊デジタルカメラマガジンなどカメラ雑誌やWebにおいて写真撮影と記事執筆を担当。人物のレポート記事では写真と文字の両面からのアプローチで、被写体の内面に迫ると定評を得る。Photoshopによるレタッチの解説本も執筆。セミナーなどでは撮影指導も行う。近年は人と自然の繋がりをテーマに作品を製作。各地で精力的な撮影を行う。生来の新しい物好きが高じて新製品デジカメ&ムービーカメラのレビューの発表も多数。常に最新の動向に目を光らす

礒村浩一 フォトグラファー

 

 

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